作家・室井佑月氏は、日米貿易交渉が日本にとって望ましくない結果になるのではないかと懸念する。
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安倍首相は5月27日午後のトランプ米大統領との共同記者会見で、
「トランプ氏と日米ウィンウィンとなる形の早期の成果達成に向け、議論を加速させることで一致した」
と強くいった。2国間の貿易交渉についてである。
その前日の26日、トランプ大統領は安倍首相とのゴルフの後、自身のTwitterにこんなことを書き込んだ。
「日本との貿易交渉で非常に大きな進展があった。農業と牛肉でとくに大きなね。日本の7月の選挙の後、大きな数字を期待している」
そして、27日の会見ではこうもいった。
「私はTPPとは何の関係もない。OK? 関係ない。他国が調印したことに米国は拘束されないのだ」
これらのことから、かなりのことがわかった気がした。このことをテレビなどで流せば、大部分の人はわかるはず。
テレビは相撲やゴルフや居酒屋接待の話でお茶を濁すばかりだったが。あ、これについても、わかったことがあったわな。
まず、はじめにわかったこと。この国の参議院選挙後に本格的な日米貿易交渉が行われる。
参議院選に勝利しなくてはいけないのは安倍首相だから、安倍首相側からその期間は、貿易交渉を待ってくれとトランプ大統領へお願いしたのだろう。そして、トランプ大統領は安倍首相の願い、交渉の時期という条件をのむことにした。その見返りが、米国にとって「大きな進展」であって、「大きな数字」であって、「TPPとは何の関係もない」、そんな基準をさらに超えた米国側への譲歩なのではなかろうか。
逆にいえば、米国とのこの先の貿易交渉は、日本にとって望ましくない進展で、それも驚愕するようなものであるということだ。
冒頭であげた安倍首相の、
「トランプ氏と日米ウィンウィンとなる形の早期の成果達成に向け、議論を加速させることで一致した」