

ジャーナリストの田原総一朗氏は、安倍首相が衆参同日選挙に踏み切る公算が高いことに憤る。
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“衆参同日選”が行われるのかどうか。これが、今マスメディアの最大の課題になっている。
野党から、解散の大義名分がないという批判が出たのに対して、菅義偉官房長官は「野党が内閣不信任案を提出すれば、それが大義名分になる」と言い、自民党の二階俊博幹事長も「解散の大義など1日で作れる」と言い切っている。
そして、5月29日に自民党の森山裕国対委員長は、国会の会期延長については「考える必要がない」と明言していたのに、6月5日の記者会見で「今後提出される法案の成立のために、必要なら会期延長も検討する」と語った。
法案とは「スーパーシティ構想」実現のための国家戦略特区法改正案のことで、政府が7日に国会に提出する方針を打ち出したのである。当初は今国会には提出しないと見られていたはずなのに、である。
これに対して、立憲民主党の辻元清美国対委員長は「会期延長の含みを持たせて、衆参同日選の選択肢を持たせるために法案をチラチラ見せている。姑息すぎる」と怒っている。
また、日本維新の会の馬場伸幸幹事長は「会期延長は法案審議のためではなく、衆院解散へのツールになると言われている」と指摘している。
各紙、各テレビ局も、「会期延長」を衆参同日選に向けた環境整備ではないか、と捉えているようだ。
私は、安倍首相はホンネでは衆参同日選を考えていると思う。
5月25日に来日したトランプ大統領は日米貿易交渉の決着は参議院選挙の後まで先延ばしにする、と約束した。言ってみれば、安倍政権が参院選で不利にならないために妥協したわけだ。それだけに、8月の交渉は相当厳しいものになるはずである。おそらく日本側は、少なからぬ手傷を負うことになるだろう。
とすれば、安倍首相としては何としてもそれ以前に衆議院選挙を終えていたいはずである。