平成に入ってからも14歳説は続きます。安室奈美恵さんは14歳になる年にSUPER MONKEY’Sを結成し、15歳の誕生日の4日前に『ミスターU.S.A.』という曲でCDデビュー。そして、10歳の頃からご両親とともにCubic Uという音楽ユニットで活動していた宇多田ヒカルさんも、97年(14歳)に東京のスタジオでレコーディングをしている際にスカウトされ、翌年『Automatic』でソロデビュー。日本のポップス史に残る超社会現象となりました。他にも将棋藤井聡太七段や卓球の張本智和選手といった10代の天才たちの登場は記憶に新しいところですが、彼らが頭角を現し世間に鮮烈な印象を与えたのも14歳の時。浅田真央さんや羽生結弦選手も、14歳で世界(ジュニア大会)を初制覇しています。

 そして現在気になる10代と言えばサッカーの久保建英選手です。このたび弱冠17歳にして日本代表メンバーに招集されたとか。出ました17歳。青春ど真ん中。しかしプレーはもちろんのこと顔つきや佇まいに至っても、そこにあどけなさなど欠片もありません。かつて高校球児だった頃の松井秀喜さんも似たようなことを言われましたが、またそれとは違った老成感です。『強豪チームを渡り歩いてきた名監督』のような自信に満ちています。

 10歳からバルセロナの下部組織で活躍するも、チームの規則違反による出場停止が続き、帰国したのがなんと14歳の年。来ました14歳。陽気なスペインで芽吹き、大人3人分以上の波乱と失意そして躍進の中で熟成された思春期を経て、満を持して今放たれる逆浦島太郎的な『歪み』。歪みこそ強さです。しかと見守らせて頂きます。

週刊朝日  2019年6月7日号

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