ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、日本代表に選出されたサッカーの「久保建英」選手を取り上げる。
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南沙織さんの名曲にもあるように『17才』と言ったら、それはもう青春真っ盛り。まさに♪私は今 生きている♪状態です。カリスマ尾崎豊さんも♪夢見がちな俺はセンチなため息をついている♪(『十七歳の地図』)と唄っています。ひたすら弾ける自我で、キラキラと輝く未来(あした)を汗と涙越しに見つめる毎日。迷いや苛立ちすらも生命(いのち)の証。VIVA!青春。ほとんど経験がないので適当ですが。
しかし、人生は青春に辿り着くまでが厄介で、世間はそれを思春期と呼びます。様々な変化に戸惑い、自分の抱く感情の正体すらも分からないただ悶々とした日々。光も影も艶も闇も、すべてはここで形成されると言っても過言ではありません。私の思春期も14歳ぐらいから始まり、いまだにその不毛なループに留まりながら、虚しさと満足感の狭間を漂っている気がします。いわゆる『中二病』ってやつですが、生まれて初めて感じた『歪み』というのは、きっと幾つになっても新鮮で愛おしいものなのでしょう。
私はかねてから『天才14歳説』を提唱しています。後にスーパースターとなる人は、14歳で最初のアクションもしくはインプレッションを残していることが多いという説です。例えばユーミンこと松任谷由実さんは、14歳の時に作った『愛は突然に』という曲で(その3年後に)プロ作曲家としてデビューしています。また、日本を代表するアイドル像を築いた山口百恵さんも、73年にデビューし『花の中3トリオ』としてセンセーションを巻き起こしたのが14歳の時。ちなみに桜田淳子さんもデビューは14歳と10カ月でした。