筧千佐子被告 (c)朝日新聞社
筧千佐子被告 (c)朝日新聞社
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 京都、大阪、兵庫で起きた青酸化合物による連続殺人事件で、殺人と強盗殺人未遂の罪に問われた筧(かけひ)千佐子被告(72)の控訴審判決が5月24日、大阪高裁であった。樋口裕晃裁判長は、求刑通り死刑とした一審・京都地裁判決を支持し、被告側の控訴を棄却した。筧被告が認知症で責任能力がないという主張は認められなかったが、弁護側は即日上告した。
 
 筧被告は2007年12月~13年12月、夫の勇夫さん(当時75)や、交際相手の男性2人を殺害し、もう1人を殺害しようとしたとして起訴された。
 
 直木賞作家、黒川博行氏の小説「後妻業の女」とそっくりのストーリーとあって、有名になった。
 
 一審では京都拘置所に長く留置されていた千佐子被告。控訴審となって、大阪拘置所に移送されてきた。その間、筆者は千佐子被告に何度か面会する機会を得た。千佐子被告が逮捕されるまでも直接、会ったり、電話などで50回を超すやりとりがあった。その頃は、「後妻業の女」という異名通り、金持ちの男性をゲットしようと、ギラギラしていた。会って話を聞く時は、大阪市内の繁華街を指定。髪をセットして化粧もバッチリ決めていた千佐子被告。だが、拘置所の面会室で向き合った千佐子被告は、こうボヤいた。

「あんたのことは覚えてます。けど、もうここが長くなって、すっかり物覚えが悪くて、半分ボケてしまったわ。なんで、拘置所なんかに自分がいてるのかな…」
 
 長い拘置所生活のためか、その表情は逮捕前とはまったく違い、髪は真っ白で、やつれており、おばあちゃんという雰囲気だった。
 
 逮捕前、千佐子被告が当時住んでいた、大阪府堺市の自宅で取材した時のことだった。最初の夫が病死後、高齢男性と何度も結婚した。その理由を問うた時だ。

「うちは九州から大阪に出てきて、破産もした。お金の苦労ばかりだった。幸せのためには、まずお金や。結婚して財産をもらうため、公正証書を組んだ。それもこれもお金に苦労しないためや」
 

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「うちにはあんたらにわからへん、魅力があるねん」