一方、飲むタイプの日焼け止めにはそうしたものがない。紫外線を体の外でブロックするのではなく、体の中で特定成分が作用して、紫外線の影響を抑えるものだからだ。
取材でわかったのは、飲むタイプの日焼け止めには2種類の成分があるということ。一つは熱帯地域に生息するシダ植物から抽出した「ポリポディウムリュウコトモス(PLエキス)」、もう一つは、グレープフルーツなどのシトラス系の果物とローズマリーから抽出したポリフェノール「ニュートロックスサン」だ。
紫外線は、表皮を通過して真皮に到達し、真皮細胞にダメージを与えて肌のハリツヤを失わせる。これがいわゆる「光老化」で、見た目の老化につながりやすい。併せて、表皮と真皮の間にある色素細胞(メラノサイト)が刺激を受けると、そこからメラニン色素が作り出される。それがシミやそばかすの原因となる。飲むタイプの日焼け止めには、こうした紫外線によるダメージを防ぐ成分が含まれているのだという。
自身も飲む日焼け止めのサプリメントの開発に携わった、東京銀座スキンケアクリニック(東京都中央区)院長の三浦麻由佳さんは、次のように解説する。
「PLエキスはスペインでは皮膚がんの医薬品として使われてきた成分だと聞いていて、ヨーロッパを中心に体の内側からできる日差し対策として注目されています。海外ではオゾン層破壊による紫外線の害が特に問題視されているので、日焼けを防ぐためのサプリメントは以前から飲まれていました」
三浦さんによると、紫外線を浴びると体内にフリーラジカルや活性酸素という有害な物質が発生し、それが真皮の細胞を傷つけてしまう。これが前述した「光老化」の正体だ。皮膚へのダメージが大きければ、皮膚がんの原因にもなりかねない。美容面だけでなく、皮膚の健康を考えても、紫外線予防は大事になる。
「例えば、PLエキスではこのフリーラジカルを壊して無害化する働きが確認されています。そのため、紫外線を浴びても皮膚へのダメージが生じにくい。その結果、日焼けやシミ、光老化を抑えられると考えられているのです」(三浦さん)