2月に白血病を公表した競泳女子の池江璃花子選手(18)。全国から寄せられた手紙は本人に届けられ、約4万羽に上る千羽鶴は地元・東京都江戸川区のスポーツセンターに4月7日から展示されている。館内の特設ブースでは、鶴を折ったり応援メッセージを書いたりすることもできる。
手際よく5羽の鶴を完成させた50代の女性は「テレビで何度も活躍ぶりを見た。来年(五輪に)出てもらいたい」と話した。数年前に交通事故に遭い、車椅子生活を送る60代の女性は「池江選手が復帰すれば、自分も歩けるようになるんじゃないかと思って、がんばってねと(メッセージを)書きました」と語った。
骨髄バンクのドナー登録も急増し、池江選手の公表前は月平均2千~3千人だった新規登録者数が、2月は1万1600人、3月も7千人を超えている。
白血病の治療とは、どういうものなのか。
元東京大学医科学研究所特任教授で、血液腫瘍内科医の上昌広・医療ガバナンス研究所理事長によると、急性の場合は強い抗がん剤治療をくり返すという。
まず、白血病細胞を減らす「寛解導入療法」から入り、その次に、残っている白血病細胞を完全に殺すための「地固め療法」を重ねていく。1カ月ほど間隔を空けながらくり返すが、体力が落ちるので回を重ねるごとにつらくなっていくのが通例だという。実際、3月6日に池江選手は「思ってたより、数十倍、数百倍、数千倍しんどいです」とツイッターでつづっていた。
「東京オリンピックまで499日 1日遅れちゃったまだまだ諦めないぞー!!」とつぶやいた3月13日の後の長い沈黙の理由について、上理事長は「抗がん剤を入れると、1~2週間はしんどい。SNSができなかったのは、このしんどさか、クリーンルームに入っているからかもしれない」と推察した。
池江選手が所属するマネジメント会社の担当者は、「順調に治療は進んでいる」という。(本誌・緒方麦)
※週刊朝日 2019年5月17日号