2月にステージ4の舌がんの手術が成功し、ほっと胸をなでおろしたのもつかの間、今度は初期の食道がんが見つかり、入院して手術をおこなったタレントの堀ちえみさん。堀さんは4月15日のブログで、
「(食道がんは)舌癌の転移でも再発でもないとの事です」
と説明したが、相次ぎがんの標的になってしまう身の上を気遣う声も多く上がっている。これはたまたま起こった偶然なのか。
「いえ、舌がんも含まれる口腔内がんがある人の約20%に、食道がんがあると言われるほど。それらのがんはオーバーラップしやすい。口腔内がんも食道がんも、どちらかが見つかれば併発を疑って、もう一方も検査するのが鉄則です」
そう話すのは、横浜市立大学附属市民総合医療センター・内視鏡部部長の平澤欣吾さん。つい最近も中国で食道がんの内視鏡手術について講演、堀さんの食道がんを例に、舌がんとの関連性について解説してきたところだという。
その仕組みは、こうだ。
「舌が含まれる口腔から咽頭、そして喉頭、食道などは、『重層扁平上皮』という同じ性質の組織に覆われています。がんを引き起こす危険因子が口から入った場合、同じ組織の上を、同じ危険因子が通っていくわけですから、舌と食道に同時にがんができてもおかしくないのです」
この直線上にある重層扁平上皮がんを引き起こす可能性のある危険因子としては、わかっているものもいくつかある。はっきり証明されているものは二つ。お酒とたばこだ。