「定員厳格化の影響で難関私大の競争が激化しました。それを受けて受験生が敬遠し、中堅私大への出願を増やした。その結果、中堅私大も難化。専門学校へ進学する受験生も多くなっています」

 理系が強い大学の人気も見て取れる。東京都市大は実志願者数が前年比18%と大きく増加。東京理科大、芝浦工業大、東京電機大なども増えた。

「AI(人工知能)やICT(情報通信技術)などが注目され、理系の人気が上昇しています。東京五輪後には景気が悪化するという見方があり、不景気でも就職に強い理系を選択する動きもある。情報系の分野を中心に、理系人気が復活しています」(石原さん)

 実志願者数とのべ志願者数の差が大きい大学もある。のべ志願者数を実志願者数で割った、「併願率」を見ていきたい。併願率の平均は47大学で278%。平均すると1人あたり3学部・学科を併願していることになる。

 併願率が最も高かったのは摂南大で602%。一般入試(前期A日程)では、1回の受験料3万円で最大4学部・学科を併願できる。5千円追加すれば、最大12の併願も可能だ。

 次いで高かったのが千葉工業大で、併願率は543%。1回の受験料3万円で、最大17学科を併願できる。今年から、試験日前日までネットなどで出願を受け付ける制度を導入し、“駆け込み出願”しやすくなった。

 両大学とものべ志願者数だけでなく、実志願者数も増えた。併願制度が充実していることは、受験生にとってチャンスが高まるメリットもある。

 もちろんリスクもある。大学通信の安田賢治常務は、併願しやすくなったことで、第1志望の学部・学科に進まない受験生が増える恐れを指摘する。

「併願した学部・学科に合格し、入学する人もいます。学びたいことや将来の希望とのミスマッチが起きる可能性があります」

 受験生は学びたいことを見極めたうえで、併願制度を活用することが大切だ。大学側も千葉工大のように、入学後にほかの学部・学科に移りやすくするなど、ミスマッチへの対策をしている。

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