“伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、「令和」時代となる今、「平成の失敗を繰り返すな」と指摘する。
* * *
私は小さいころ足が遅いほうではなかった。いや、速かったと言っていい。小学校の時は毎年、リレーの選手に選ばれていた。しかし我が子が幼稚園児だった時の運動会には参った。
幼稚園は子供の年が同じだと、父親の年もみんな同じだと誤解している節がある。年齢別で振り分けてくれてもよさそうなものだが、一緒に走らされたからたまらない。30代後半の私は、20代前半のほかの父親との差を惨めなほどに息子にさらしてしまったのだ。まさに“サー”と抜かれた。
足が速かったという自信も、父親としてのメンツも丸つぶれになった。
★ ★
平成が始まった1989年の年末。日経平均株価の終値は3万8915円と史上最高値だった。新しい元号「令和」が発表された4月1日の終値は2万1509円。30年続いた平成はもうすぐ終わるが、株価は半分近くに低迷している。
一方、NYダウは当時2753ドル、4月1日は2万6258ドルで約10倍だ。株価は「経済の体温計」だといわれるが、平成の間に日米の経済力は大きく差がついてしまったわけだ。日米の差だけではない。平成の間の日本の成長率は先進国中、ダントツでビリだ。
2017年度の名目GDPは547.4兆円。20年前の97年度のGDPも533.4兆円でほとんど変わっていない。国民の間に景気が良くなった、豊かになったという実感がないのは当然なのだ。