フィットネスチェーン「カーブス」におけるトレーニングのイメージ=同社提供
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「代官山 蔦屋書店」の店内。アルコールも飲めるカフェがあり、座って本を読むことができる
「代官山 蔦屋書店」の店内。アルコールも飲めるカフェがあり、座って本を読むことができる
(週刊朝日2019年4月26日号より)
(週刊朝日2019年4月26日号より)

 消費構造は今、劇的な変化が起き始めている。日本人の人口に占める50歳以上の割合は半数になり、消費の主役は“大人女子・男子”になる。その証拠に「大人世代向けビジネス」の成功例は積み上がりつつある。

【写真】おしゃれ!アルコールも飲める「代官山 蔦屋書店」の店内

 東京・代官山。おしゃれなブティックや高級レストランが並ぶ一角に「代官山蔦屋書店」はある。平日で約2万人、休日には倍の約4万人が来店する。この超人気書店が実は50~60代向けに構想が練られ、そのコンセプトは今でも守られていることをご存じだろうか。

 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が展開する「TSUTAYA」は、主に20~30代をターゲットにしてきた。しかし、今後の人口構成の変化に気づいた増田宗昭・最高経営責任者(CEO)が、生き残りに危機感を抱き、50~60代向けの店づくりを決断した。

「代官山 蔦屋書店」の土門泰人店長が言う。

「これまでの成功体験を一度リセットして、ゼロベースで店づくりを考え直しました」

 特徴は次の3点。(1)ブック・カフェ(2)ライフスタイル別陳列(3)コンシェルジュの配置。

 (1)は2003年に「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」において日本で初めて導入されたCCCお得意の方式。店内にスターバックスを入れ、あちこちにイスを置き、コーヒーを飲みながら本の座り読みができる。

 大胆に行われたのが(2)だろう。単行本や新書、文庫など形態別に本を並べる従来型ではなく、ライフスタイルごとの陳列だ。しかも扱う書籍を「人文・文学」「アート」「料理」「旅行」など6分野に絞った。そして、CCCが大切にしている「ライフスタイルの提案」を実践するため、分野ごとにコンシェルジュを置いた。顧客の希望に応じて本を提案したり、イベントを企画したりする。

 ジャンル別の品ぞろえは、例えば料理だとちょっとした調理道具や食材にまで及ぶ。50代以上の消費に詳しい博報堂「新しい大人文化研究所」(新大人研)の阪本節郎所長は、

「大人世代は趣味を極めていく傾向があるが、そんな人が来ても十分楽しめるお店が求められている」

 というから、蔦屋書店はワクワク感が得られそうだ。

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