“モノマネの女王”として知られる清水ミチコさん。テレビドラマや映画女優、エッセイストとしても、幅広く活躍しています。ちょっぴり毒のある清水流・モノマネの哲学に作家・林真理子さんが迫ります。
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林:ユーミンとは仲良し?
清水:お目にかかるとごあいさつする程度ですね。なんといっても“加害者”だから(笑)。
林:モノマネって微妙ですよね。
清水:微妙なんですよ。本人になりきりたくてなってるうちは気持ちがいいんですけど、「もう少し笑いを」と思うと、ちょっと色をつけたりするので、きっと彼女も複雑な気持ちなんじゃないかと思います。
林:でも、ユーミン、清水さんのことを嫌いなはずないと思うけどな。
清水:けっこうネタにしてるので、そこはちょっと微妙なところだと思ってたんです。でも初めてお目にかかったとき、私のこと「あ、愉快犯だ」と言って笑って、その言葉は本当にうまいと思いました。確かに愉快でやってるので。
林:前の持ちネタで、「ユーミンはこんなふうに曲をつくる」っていうのがあったでしょう。
清水:「松任谷由実作曲法」ですね。
林:あれはユーミンの逆鱗に触れました?
清水:本気にしたら触れると思いますけど、人としての器というか、霊格が違うので、たぶん相手にされてないんじゃないですかね。ほんと私もひどいことをしてますよね。冷や汗出てきた(笑)。
林:でも、ちょっとムッとされるぐらいがいちばんいいんじゃないですかね。
清水:林さんは第三者だから、そう言えるんですよ(笑)。
林:昔、マツコ(・デラックス)さんがまだ売れてないころ、私とユーミンの対談のネタというのを新宿二丁目のゲイバーでやってたらしいの。それがすごくおもしろいらしいんですよ。
清水:モノマネで?
林:そう。二丁目の人ってユーミンのファンが多いから、ユーミンのモノマネは愛を込めてやってると思うんだけど、私なんかひどいこと言われてたんだと思う。知り合いの人がそのDVDをくれたんだけど……。
清水:どんなでした?
林:見たくないですよ、そんなの(笑)。引き出しの奥にほうり込みました。
清水:ウケてても不愉快だし、ウケなくても不愉快だしね(笑)。
林:ユーミンが「ほんとに林さんが言いそうなことをマツコが言うから笑っちゃう」って。
清水:アハハハ、見てみたいなあ。
林:そういえば今思い出したけど、昔「アグネス論争」のとき、清水さんにも何かやられたような気がする。