甲斐野の直球についてはキャンプを見てすぐに通用するとわかった。落ちる球の精度がどの程度かと見てきたが、カウントを取る小さい変化と、空振りを取る大きな変化のフォークを投げ分けられる。度胸も十分だし、リリーフとして大事な要素を持っている。

 春季キャンプで工藤監督は、いずれ甲斐野は抑え投手として育てる方針だと言っていた。本来の守護神サファテの状態が上がらないのは甲斐野にとってチャンス。運をつかむのもプロ選手には必要だ。これからが非常に楽しみになった。

 話は変わるが、日本ハムが4月2日の楽天戦で加藤、4日の同戦で斎藤をショートスターター(短いイニングの先発)として起用した。いわば2番手投手と2人セットで六回か七回まで投げて先発投手の役割を担わせようというものだ。

 もし、6試合のうち2試合のペースでこの方式をとろうとするならば、ほか4試合の先発投手が長いイニングを投げることが前提となる。投手は50球以上投げれば連投はきかない。連投がきかない投手が多く生まれれば、他の投手へしわ寄せがくる。栗山監督が今後どんなペースで活用するかを注目したい。

週刊朝日  2019年4月19日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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