ところがビーチで紙袋を開けてみると、冷やし唐揚げのパックがふたつ入っている。しかも1パックに4個ずつ、合計8個。これで商売になるのだろうか?
さらに、妻太郎がビーチ脇の売店に浮輪を借りに行くと、1日の使用料が500円、保証金が500円で合計1000円だという。
売店ではうまそうなサーターアンダーギーを揚げていてひと袋300円と書いてあるから、浮輪代と一緒に精算してもらうと、
「うーん。600円ねー」
本来1300円のはずだが、そこはセコイ大センセイである、気づかないふりをしてお金を払うと、
「持ってけー」
これで保証金の500円を返してもらったら、出費はわずか100円である。
沖縄好きの知人が、こういうのを「てーげー」と言うのだと教えてくれた。だいたいとか、適当とか、いい加減といった意味で使われ、語源は「大概」であるらしい。
大センセイ、沖縄の人々のてーげーに直面して、ゆるゆるしていていいとは思ったけれど、そう言えるのは、すべてのケースにおいてこちらが得をしたからではないかとも思った。
もしも代金を多めに請求されたり、釣り銭を少なめに渡されたりが続いたら、
「お前ら、大概にしろよ!」
と怒ったんじゃないか。
自分がてーげーじゃないのにてーげーを称揚するのは、ちょっと後ろめたい。
※週刊朝日 2019年4月12日号