「駅からバスに乗って通うことが敬遠されていること、大規模校ではなく、生徒に目が行き届く小規模校を好む保護者が増えてきたことが考えられます」

 同校の岡田直哉校長は、合格者減の理由を次のように説明する。

「01年に新設した中高一貫の『桐蔭学園中等教育学校』に、成績上位の生徒が入学しました。合格実績は別ですから、桐蔭学園の合格者数は減りました」

 別の要因として、大学合格に向けた知識の習得ばかりに力を入れる教育に対する需要がなくなったことを挙げる。

「自ら考え、判断し、行動できる力がさらに大切だと考え、15年度の中1と高1からアクティブラーニング型の授業を始めました」(岡田校長)

 その結果、思考力、判断力などが身につき、東大推薦入試や国立大AO入試の合格者が出るようになったといい、「新しい学びは新テストにも対応できると思います」(同)。

 18年から高校が共学となり19年から桐蔭学園中の募集を停止し、男子校だった桐蔭学園中教を共学にした。受験生も増え、新しい進学校として期待されている。

 公立校で健闘するのが、18年のランキングで早大2位、慶大9位の湘南。稲垣一郎校長によると、東大、京大、一橋大、東工大などの難関国立大を目指す生徒が多いため、3年の前期まで全員が国公立大型の勉強をするが、後期はコース制となる。早慶は国公立大志望者の併願先になるため、必然的に早慶の受験者が多くなり、安定的に合格者が出ているという。

 同校は1956年からゼミ形式の70分授業を展開し、知識の吸収だけではなく、自ら考える力や応用力を育んできた。

「2012年から日比谷、千葉、浦和など1都3県の公立8校で『首都圏公立進学校交流会』を作り、情報交換をしています。勉強だけではなく、部活動、学校行事も頑張り、浪人してでも第1志望校に行きたい、という生徒が多いです。湘南新宿ラインの開通などで、早稲田が遠いとは感じていないようです」

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