鈴木さんは直接言いにくいことも含めて、治療に対する希望を箇条書きにし、主治医に渡していたそうだ。口頭だと忘れられることも多いが、書面で残っていると主治医は事あるごとに確認できる。

 とはいえ、普段あまり文章を書かない人にとって、考えていることを文字にするのは難しいものだ。鈴木さんは言う。

「処方された薬品名や飲み残した薬の数など、短い言葉や数字でいいから、書くことをクセにする。だんだん箇条書きにしたり、文にできるようになります」

 努力してもこの医師とは合わない、というときもある。

「診察がストレスになったら本末転倒。主治医の変更を検討しましょう」(鈴木さん)

 医師の知識やできることには限度があり、なんでも頼ろうとすると期待が外れ、余計不満がたまる。「各専門分野の医療者とつながっておけば、主治医で解決できなかったことも補足してもらえます。医療者以外でも相談窓口や患者会、会社の産業医など、味方は多いほうがいい」(同)

 前出の岩城さんもこう話す。

「患者さんと主治医の関係はみんな違うので、うまくいく方法も一通りではありません。専門家の知恵も活用しながら、いい関係を築いてください」

◯認定NPO 法人マギーズ東京キャンサーサポート
スペシャリスト(看護師)
岩城典子さん

◯患医ねっと代表
鈴木信行さん

(文/谷わこ)

※週刊朝日ムック「手術数でわかるいい病院2019」から

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