「入れ歯のにおいが気になる……」。この悩みはけっこう聞かれます。取り外してにおいをかげるために、なおさら自分で感じやすいのかもしれません。では、入れ歯がいやなにおいを引き起こす原因は何でしょうか? におわせないための方法は? テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。
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せっかく作った入れ歯がにおってしまったら、がっかりですよね。でも、きちんとお手入れをすれば、におうことはありませんから、心配しないでください。
まず、入れ歯のにおいの原因は日々の口の中の食べかすやプラーク(歯垢)、そこに集まってきて繁殖した細菌などです。つまり、においがするということは、こうした汚れが十分に取れていないということです。
入れ歯には部分入れ歯と総入れ歯があります。部分入れ歯で汚れがつきやすいのは、歯に入れ歯をひっかけるための金属部分。総入れ歯では、歯ぐきにとりつける部分の床(しょう)の部分です。そして、歯と歯の間にはどちらの入れ歯も汚れがつきやすいです。
食べかすなど目に見える汚れは水でさっと洗えば取れるかもしれません。しかし、染め出し液で染めると全体に色がつき、プラークだらけであることがわかります。
目に見えない汚れは実は、床に使われるレジン(プラスチック)に付着しています。レジンは「多孔質(たこうしつ)」といって、顕微鏡で見ると目に見えない穴がたくさん開いています。この穴の中に汚れや細菌が入り込むので、穴の中が清潔にならない限り、においはなかなか抜けないということにもなります。
ではどのように清掃をすればいいのでしょうか。まず、食事の後には入れ歯を取り外して、歯ブラシでよく磨くことは基本中の基本。ただし、天然歯用の歯みがき粉を使ってはいけません。研磨剤が入っているので、こするとレジンの部分に傷がつき、ますます汚れや細菌が入りやすくなります。ぜひ、入れ歯専用の泡状の洗浄剤をつけてください。
次に入れ歯洗浄剤を使って、残っている目に見えない汚れを取り除きます。