ブリッジのメリットは手術の必要がないことです。また、固定式なので入れ歯のように取り外しの必要がありません。デメリットは支えとなる支台歯がなければ治療ができないこと。また、両隣の歯にクラウンをかぶせなければならないために健康な歯を大きく削らなければならないことです。また、隣り合った複数の欠損をブリッジで補うことはできません。

 この点、「入れ歯」のよさはほとんどの人で問題なく、使用できる点です。取り外しをしなければならない半面、歯ブラシや入れ歯洗浄剤などでの掃除がしやすいこともメリットです。

 そして、入れ歯は外れやすいと誤解されているようですが、入れ歯専門の歯科医師が作る、患者さんにぴったりあった入れ歯は粘膜にフィットし、とてもいい使用感です。

 さらにアンチエイジング効果も期待できます。年をとると歯ぐきが痩せるため唇のふくらみが失われ、口元のしわやほうれい線が目立ちやすくなりますが、入れ歯でしっかりと歯ぐきの部分を作って口に入れるとふくらみがよみがえり、しわやほうれい線が目立ちにくくなるのです。

■第四の選択肢、インプラントオーバーデンチャー

 実は近年、こうした入れ歯の長所とインプラントの長所を合わせた「インプラントオーバーデンチャー(インプラント併用義歯)」が注目されています。インプラントオーバーデンチャーでは必要最低限のインプラントにインプラント用の入れ歯(取り外し式)を入れる方法です。これは第四の選択肢といっていいでしょう。

 インプラントオーバーデンチャーは安定してかむことができるうえに、外して清掃ができるので、インプラント周囲炎にもなりにくいといえます。

 実はインプラントを入れた人が高齢になってきたいま、歯を清掃することが困難になり、「インプラントを抜きたい」というケースが増えてきているのです。ところがインプラントを抜くためには再度、手術が必要なので、これがなかなかできない現状です。

 インプラントオーバーデンチャーであればこのような心配はありません。介護する人が外して洗ってあげることができるからです。

 このように歯科の治療法は医科と同様、急速に進歩しています。新しい治療法などについても主治医によく聞いたうえで、自分に合うものをじっくり選んでいただきたいですね。

◯若林健史(わかばやし・けんじ)歯科医師。若林歯科医院院長。1982年、日本大学松戸歯学部卒業。89年、東京都渋谷区代官山にて開業。2014年、代官山から恵比寿南に移転。日本大学客員教授、日本歯周病学会理事、日本臨床歯周病学会副理事長を務める。歯周病専門医・指導医として、歯科医師向けや一般市民向けの講演多数。テレビCMにも出演

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