「年をとって歯がなくなっても、入れ歯にするのだけは嫌!」と思っている人、多いですよね? ずれたり、外れたりというイメージが強いせいもあるでしょう。では、入れ歯が嫌ならインプラントしかないのでしょうか? 他の方法は? テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。
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「入れ歯にはどうしても、抵抗があって……」。失われた歯を補う方法として入れ歯を紹介すると、こうおっしゃる患者さんは多いです。
確かに入れ歯が嫌となると「インプラント」という方法が紹介されます。もう一つ、忘れてはならないのが、「ブリッジ」です。
しかし、「これが一番」というものはありません。メリットもあればデメリットもあるからです。そして、もちろん、入れ歯にもメリットがあります。後ほど説明しますが、最近の入れ歯は非常に進化していて、インプラントやブリッジにはない魅力があります。
一つずつ解説していきましょう。
まず、おなじみの「インプラント」ですが、歯のなくなった顎(あご)の骨にインプラントを埋めこみ、その上に人工歯をつけるので、自分の歯のようにかめるのが長所です。
ただし、自費診療となり、費用も高いです。また、インプラントを埋めるためには外科手術が必要なので、持病や全身の状態が悪い人はできないことがあります。インプラントを埋めるだけの顎の骨がない場合も、適応になりません。
また、天然の歯と同じようにインプラントにも細菌が集まり炎症が起こります。特に歯周病の人がインプラントを入れると「インプラント周囲炎」になるリスクが高いことがわかっています(歯周病の人がインプラント治療をしてはいけない理由、参照)。つまり、インプラントを入れた後は入れる前よりも、いっそう、口の中の清掃を徹底しなければならないのです。
「ブリッジ」は欠損した歯を両隣の歯と組み合わせて補う治療です。人工歯と両隣の歯(支台歯)にかぶせるクラウンが一体となっていて、橋をかけるように装着することからこのように呼ばれています。