


コツメカワウソを密輸していた男らが外為法違反(無承認輸入)の疑いで警視庁に逮捕された。
東南アジア原産のコツメカワウソは、国内では動物園や水族館でしか見ることができなかった。だが、テレビ番組に取り上げられたことで話題を呼び、ペットとして飼われている姿がSNSなどで紹介されるなど、その愛くるしいしぐさから人気に火がついた。
同時に密輸も横行するようになった。昨年6月、小動物と触れ合う「コツメイト」(東京都豊島区)を営む、代表の長安良明さんの元に1本の電話がかかってきた。
「毎週のようにコツメカワウソが入ってくる。何頭か買わないか」
電話の主は密輸業者だ。
「3頭連れてくると言っていましたが、現れた男は赤ちゃん2頭を売り込みに来ました。1頭は死んだとのこと。2頭も瀕死の状態でしたから。問い詰めると、密輸だと白状したのです」
これが逮捕につながった。
コツメカワウソを取り扱うあるペットショップでは、1頭約140万~約160万円で取引されている。高額だが、問い合わせは多く、予約を入れて入荷を待っている客もいるそうだ。
コツメカワウソは、絶滅の恐れがある種とされ、ワシントン条約で輸出許可が必要な動物に指定されている。だが、いったん国内に入ると、密輸なのか、国内で繁殖されたのか判別しにくいという。
なかには「国内ブリード」をうたい、密輸の隠れみのとしているケースもあるようだ。
「現状、コツメカワウソの繁殖は、動物園でないと難しく、もし『国内ブリード』であれば、動物園からの販売許可証があるはずです。またはワシントン条約の書類が親のカワウソにあるはずです。それらの書類が提示できなければ、密輸が疑わしいでしょう」(長安さん)
インドネシアから正規ルートを通過するコツメカワウソの首元には、マイクロチップを埋め込んで管理され、寄生虫予防の投薬などを済ませてから輸出される。