


国際的なスポーツの試合では、入場の際、選手とともに子どもが出てくることが多い。あの場に立てるのはいったいどんな子どもたちなのか。
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今年9月から国内12会場で開催されるラグビーワールドカップ(W杯)日本大会では、試合ボールをグラウンドに運ぶ子どもを20人、一般公募するという。W杯をサポートする国際輸送企業が行う「DHLマッチボールデリバリー」キャンペーンだ。
2015年のW杯で日本中を沸かせた南アフリカ戦でボールを運んだのも、じつは公募で選ばれた日本人の少年だった。
岡田虎哲(こてつ)くんは、当時12歳。500人を超える応募者のなかからたった一人選ばれた。いまは高校受験を控える15歳だ。応募の経緯を尋ねると、苦笑いした。
「母親が勝手に申し込んだんです。無理だと思っていたので、いやいや作文を書きました(笑)」
応募に必要なのは作文と写真だが、併せて5年生の夏休みに取り組んだ「ラグビー人気復活」の自由研究も提出したという。どうすれば日本でラグビーがもっと人気が出るか、アンケートを取ったり人々にプレーを体験してもらったりしてまとめたものだ。本人は「まさか自分が選ばれるとは思わなかった。びっくりしました」と振り返る。
15年9月、家族とともに渡英。ブライトンのスタジアムで迎えた日本と南アフリカとの一戦。3万人を超える観客が見守るなか、選手と一緒に入場し、国歌を斉唱、ボールをグラウンドの中央に置いた。「時間にすれば10分にも満たなかったと思うのですが、とにかく緊張しました」
出番を待っているとき、なんとエディー・ジョーンズ日本代表監督(当時)が肩を叩(たた)いて話しかけてくれた。
「英語だったので、そのときはわからなかったんですけど、Japan will win、日本が勝つよ、って言ってくれていたそうです」
その言葉通りになったことが、最も強く心に残っている。南アフリカは2度のW杯優勝経験を持ち、当時世界ランキング3位の強豪。歴史的な勝利だったのだ。