職場でハツラツと働くシニアたち(※写真は本文とは直接関係ありません) (c)朝日新聞社
職場でハツラツと働くシニアたち(※写真は本文とは直接関係ありません) (c)朝日新聞社

 東京都のある私立幼小中高一貫校の小学校の卒業生が、昨年「50歳同窓会」を開催した。出席率はほぼ5割だ。

「これまでは、なんとなく参加のハードルが高かったけれど、これからは人生を共にする大切な仲間としてつながっていきたいと改めて思いました。今は修学旅行で泊まった信州での『お泊まり同窓会』を計画中なんです」(参加者の一人)

 人生折り返しの50歳を超えると、同窓会が増える。

「年に5回も中学時代の同窓会ですよ(笑)。区立だから中卒の人から東大に行った人まで社会階層はまちまちだけど、そんなの関係ない。ただみんなで集まりバカ騒ぎ」(66歳会社員)

 という人もいる。

 同窓会の在り方も変わる。

 40代まで名刺交換などもあり気後れしがちだった。

「60歳前後になったら、それもない。名刺がない人だっている。それが心地よいわけです。ラグビーでいえばノーサイド」(同)

 男性用ヘアスタイリング剤「GATSBY(ギャツビー)」(マンダム)をヒットさせた、金山博さん(62)は、57歳のとき、「定年を自分で決められる働き方をしたい」と、これまで勤めていた化粧品会社の執行役員のキャリアを捨て、新しい世界へ一歩踏み出した。前々職は「カネボウ」で、33歳から45歳までフランスにも駐在した。「Mr.カネボウ」として全力疾走。フランス文化にならい、家族を最優先させる働き方も身につけた。達成感の連続で、充実の30~40代だった。

 50を過ぎ、役職がついた。現場から離れ、部下の仕事の承認作業が続き、歯がゆさを感じるようになり、

「このまま定年を迎えておしまいか──」

 そう感じたその瞬間から、アンテナを張り、転職先の情報を集め始めた。

「以前、先輩から『運は人に平等に来る』と言われたことがある。自分で運をつかみに行ったんです」

 選んだ会社は、50歳超の女性を対象にした雑誌や商品などを販売する、「ハルメク」。入社するにあたり、金山さんは三つの条件を会社に提示した。

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