「いい歯医者に出会えない」。こんな悩みをよく聞きます。治療中に、「このまま、ここで治療を受けて大丈夫なのだろうか?」という不安を感じることもあります。このようなとき、別の歯科医院に変えるべきなのでしょうか? ドクターショッピングは歯科において、すすめられるものでしょうか? テレビなどでおなじみの歯周病専門医、若林健史歯科医師に疑問をぶつけてみました。
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結論からいいますと、私はいい意味でのドクターショッピングは積極的にすべきだと思います。
これは私が歯周病という分野を専門にしているからかもしれません。歯周病は進行するにつれて歯を支える歯槽骨(しそうこつ)が減るため、上にのっている歯が不安定になっていきます。歯槽骨がなくなってしまえば歯がグラグラと揺れ、抜歯せざるをえなくなります。
ところが、歯槽骨が3分の1くらいになった状態では、「抜歯」か「歯を残すか」で歯科医師の判断が分かれます(どちらが正しいということではなく、きわどい状況では、複数の治療方針が出てくるということです)。
当然ながら、「歯を残したい」という患者さんは、そのメリット・デメリットをきちんと説明してくれて、最終的に納得する治療方針を示してくれる歯科医師のところに行くべきなのです。そのためには、1人の歯科医師の意見だけでなく、複数の歯科医師の意見を聞くことが必要だと思います。
2人目の意見を聞くことをセカンドオピニオンといいますが、これは患者さんの権利ですので、遠慮なくおこなうべきです。一般的には、転院目的ではなく、1人目の歯科医師の治療方針についてセカンドオピニオンを聞いたうえで、納得できれば、1人目の歯科医師のもとで治療を受ける流れになります。
しかし、セカンドオピニオンの治療方針が1人目と異なり、かつ、患者さんがその方針に納得した場合、結果的に転院というケースもあるでしょう。セカンド、サード……ととっていくこともよいですが、10件20件と回ってしまうと、悪い意味でのドクターショッピングになってしまうかもしれません。