具体的なセカンドオピニオンのケースを紹介しましょう。
64歳のある女性は下の歯の奥歯が進行した歯周病になり、通院先の歯科医院で、「抜歯してインプラントにするか、ブリッジにしましょう」と言われました。しかし、その患者さんは抜歯に疑問を感じ、「本当に抜かなければいけないのか、診てほしい」と当院にやってきました。
詳しく検査すると歯と歯の根の分岐部分は歯周病が進行し、骨が破壊されて黒くなってはいるものの、歯の周囲の骨はある程度、残っていて、きちんと歯を支えられていました。
当院では、患者さんに毎日の歯ブラシと歯間ブラシで根の表面を清掃することを頑張ってもらい、定期的なメインテナンスを受けてもらうことで10年、15年と歯を維持できるケースが複数ありました。そのお話をし、「患者さんご自身が決めることですが、私は抜かないほうがいいと思います」とアドバイスしました。
ただし、
「歯を残したい場合は日々のケアを患者さん自身ができるかどうか、さらに、通っている歯科医院に歯周病専門医や専門の歯科衛生士さんがいるかどうかもポイントになります。この点をよく考え、主治医に確認し、必要に応じて歯周病専門医を紹介してもらうのがいいでしょう」
と伝えました。
■説明を嫌がる場合は他の歯科医院に変えたほうがいい
一方で、歯科医師に対する漠然とした不信感から、「歯科医院を変えようかなぁ」と思っている場合、まずはその不安を主治医にぶつけてほしいと思います。
患者さんの不信感の理由には、「治療に時間がかかる」「毎回、同じようなことをやられている気がする」「何の治療をしているのかわからない」などがあると思います。
きちんとした歯科医師であれば、「今日の治療は〇〇のために行う。そのための処置にやることは〇〇で、このくらいの時間がかかります」と説明してくれます。そして、その答えに納得できれば、ドクターショッピングやセカンドオピニオンの必要がなくなります。