前川清との「あなたとわたし」は新曲で、糸井重里がユーモラスな歌詞を手がけている。メロディーはどこか服部良一風で牧歌的な叙情も。背筋を伸ばして取り組んだ前川の歌には深みと味わいがあり、矢野も丹念な歌いぶり。昭和歌謡の面影がある。
「やさぐれLOVE」はthe HIATUSの細美武士との共作。恋人への思いに揺れる男心を描いた歌だ。細美のせつない歌声に、矢野の声がやさしく寄り添う。
52ページに及ぶブックレットに、共演したアーティストたちの思いが記されている。
“矢野さんは、とても少女でした。毒も針も持っていて、清楚な部分もかわいらしい部分もある、永遠の少女だなって”(吉井和哉)
同時に、共演した多くのミュージシャンが矢野のひたむきな姿勢、きっぱりとした性格に触れ、敬意を払っているのが印象深い。
本作はコラボしたミュージシャンをしっかりと受け止める矢野の懐の深さ、とめどない矢野の意欲を物語っている。(音楽評論家・小倉エージ)