――柴咲さんがを好きになったのはいつごろですか?

 子供のころからです。昔暮らしていた地域には野良猫がたくさんいて、歩いているときに父の足元にすりよってくるのを見たのが、最初の思い出。その後、ある寒い日に、お風呂場の窓から侵入した猫が、フタの隙間から湯船に落ちそうになって大騒ぎしていたことがあって。温かいから入ってきちゃったみたいで、寒がりなんだ、私と似てるな、なんだかかわいいな、って思ったのがきっかけかもしれません。

――猫を初めて飼ったのは?

17~18年前です。まだ実家にいた頃ですが、私の友人の友人がゴミ捨て場で拾った子猫3匹のうち2匹にもらい手がいないと聞いて、引き取ることにしました。その子たちは現在も父の家で、姉妹元気に過ごしていますよ。 

――いま一緒に暮らしている、のえるちゃんも、保護猫だったとお聞きしました。

はい、日本猫の保護猫で、本のキャットシェルター兼猫カフェで出会いました。寒い日で、ストールを脇に置いていたら、そこに座って3時間くらい離れなくなっちゃって。当時、生後4カ月ほどでやんちゃな盛りだったので、こんなになつくなんて本当に珍しい、とお店の方に聞いて、めろめろになってしまいました。

すぐにでも引き取りたい気持ちになりましたが、一人暮らしをしてから飼うのが初めてだったこと、熊本から飛行機に乗せなければいけないことなどもあって、しばらく悩みました。それでも、どうしても忘れられず、1カ月後に引き取りたいと電話をかけたところ、ちょうどその日が里親募集の告知を出した日だったんです。ほんの少し電話をするのが遅かったら、この子は我が家には来ていなかったかもしれないと思うと、不思議な縁を感じます。12月にお迎えしたので、のえると名付けました。

――のえるちゃんとの日課などはありますか?

仕事柄、家を空けていることも多いのですが、どんなに忙しくても、毎日家に帰ったらまず触れ合うようにしています。1時間以上お腹の上に乗っていることも多くて、その間動けないのですが、幸せなコミュニケーションの時間になっていますね。
本当に、猫はエネルギーをチャージしてくれます。セラピー効果は抜群だと思うので、たとえば病院介護施設でも、猫や動物と触れ合えるようにできたら、行き場のない子たちの居場所としてもいいのになって思います。

――猫によって、ご自身が変わられた部分はありますか?

のえると暮らして7年。長く接していると、猫も変わっていくけれど、反対に猫で自分が変わる部分もあるし、猫に救われることもあります。
私はちょっとせっかちなので、穏やかなのえるに見習うところが多いですね。たとえば一度休憩を取るとか。のえるのおかげで、性格も穏やかになってきたような気がします(笑)。

(本誌・伏見美雪)

週刊朝日  2018年12月28日号