撮影/写真部・東川哲也、ヘアメイク/SAKURA(アルール)、スタイリスト/岡本純子
衣装協力 ワンピース ¥63,000/シー ニューヨーク(ブランドニュース)、カーディガン ¥49,000/カオス(カオス表参道)、ピアス¥45,000/マリハ(マリハ伊勢丹新宿本店)、すべて税別
映画「ねことじいちゃん」で、3年ぶりにスクリーンに登場する柴咲さん。出演の決め手は「猫が出ているから(笑)」というほどの猫好きとして知られています。今作が初監督作品となる動物写真家の岩合光昭さんとのエピソードや、“主役”のタマを演じたベーコン、愛猫のえるとの日々について、語ってくれました。
* * *
――3年ぶりに出演する映画に、「ねことじいちゃん」を選ばれた理由は?
尊敬する立川志の輔さんの初主演、岩合光昭さんの初監督という“初めて”の重なる作品に、私もぜひ加わりたいなと思いました。
それにもちろん、大好きな猫が出ているから(笑)。ずっと猫にセラピーを受けていたような、幸せな撮影でした。
――監督の岩合さんとはお会いになったことが?
お会いしたのは今回が初めてですが、岩合さんを知らない猫好きはいませんから(笑)。
実際に岩合さんにお会いしてみたら、猫に対して甘いだけの方ではないなと感じましたね。猫の気持ちになって見守る、そんな人柄が伝わってきました。人間の都合でモノを考えていない。猫に限らず、ただかわいがるのではなくて、動物はどうあるべきかとか、生態系とか、もっと高尚な見方をされているように思いました。
そして、自分の心に素直に、まっすぐに生きてきた方なんだなという印象も受けました。私自身、素直に生きているほうかなと思うんですけど(笑)、もっとずっと純粋。衣装合わせでも率直に「似合わない」と言ってくださったりとか(笑)、忖度なしの感覚が、私にとってはとてもやりやすかったです。
――岩合さんに、「猫だけじゃなくて、ちゃんと私たちのことも見てくださいね」とおっしゃったとお聞きしましたが。
はい、それだけは岩合さんに絶対に伝えておかなくちゃと思って(笑)。「猫だけじゃなくて、ちゃんと私たちのことも見てくださいね。私たちにも演技指導してくださいね」って言ったら、はっとしたような顔をされていました(笑)。
――岩合さんから何か演技についてリクエストなどはありましたか?
できるだけ作らずに、素のままで、自然にしてほしい、ということでしたので、本当にナチュラルな自分のままでやらせてもらいました。
――できあがった作品はいかがでしたか?
猫だけではなく、ちゃんと人間が描かれていました。大事件は起きないし、1から10まで丁寧に紐解いているわけでもない。けれどそのぶん、想像力を働かせて深掘りしながら見られる作品です。猫たちがかわいいからつい目がいってしまうと思うんですけど、猫を通じて、人間の豊かさや切なさが映し出されているんです。ぜひ多くの方に見ていただきたいですね。
――“主役”のタマを演じた猫のベーコンは、誰よりも柴咲さんになついていたとお聞きしました。志の輔さんの膝にいたベーコンが、柴咲さんが現れた途端にすり寄っていってしまってさみしかったとか……。
それは志の輔さんのお話が上手なだけですよ(笑)。ベーコンは本当に人を選ばない、いい子なんです。
たとえば台本に<すりよってくる>と書いてあっても、そんなこと猫にできるわけないじゃない!って思ってたんですけど、本当にできちゃう。
何よりベーコンに驚かされたのは、ダンスホールの場面。音楽が大音量でかかり、子どもたちがバタバタと駆け回っても、ベーコンはじっと動かなかったんです。いい意味で、すごく“鈍感力”が高い。私も真似したいなって思うくらいでした(笑)。