自分の体を守ろうとして働く自律神経。寒暖差が激しいと自律神経は余計に働き、体のエネルギーは消耗します。その結果、自律神経の切り替えがうまくいかず、環境に適応できなくなり鼻水が出たり、頭痛が起きたりするのです。もともと自律神経が乱れていると、その症状はもっと出やすくなります。

 自律神経の乱れを自分で簡単に整える方法が呼吸だと言われています。鼻から軽く3秒吸って、3秒止めて、6秒で口からゆっくり吐く呼吸がいいリズムです。吐く時間を長くとることがポイントで、体の中にある空気を吐き切れれば自動的に必要な分の空気を吸うことができます。呼吸のリズムが短いと、吐き切ることができないので、必要な空気を取り入れることもできません。呼吸が安定するだけで自律神経は整いやすいのです。

 体のバランスの崩れは、自律神経を乱す原因のひとつだと考えられます。パソコンに向かうときの姿勢、スマートフォンを使用するときの姿勢は、頭が前に傾いています。頭が30度傾くと首にかかる負担は通常の3倍になります。現代では一日の大半をこの姿勢で過ごしている人がほとんどです。また、人間は嫌なことがあると歯を食いしばります。歯を食いしばると首は自動的に前に出て、首に負担がかかります。首や肩に負担がかかれば体のバランスは崩れていきます。現代はこのようにさまざまな要因が関係して体のバランスを崩し、自律神経が乱れている人が多くいます。

 自律神経の乱れを治すには、スマートフォンの使用をひかえたり、長時間のデスクワークで負担がかかった体をほぐすためにストレッチや軽い運動を行いましょう。

 服装や温度設定に気をつけることも大切です。自律神経に影響を与える寒暖差を縮めるために、自分ができる範囲で調節していきましょう。温度の変化に応じて上着の脱ぎ着をすることはもちろん、首は冷えやすいのでマフラーやストールで温めます。38~40度のお湯に肩までしっかりと浸かったり、冷たい飲み物ではなく温かい飲み物をとるようにすることも、有効な対策になります。

◯久手堅 司(くでけん・つかさ)
内科医。せたがや内科・神経内科クリニック院長。2003年、東邦大学医学部卒。13年、東京都世田谷区で開業。肩こり・首こり外来、自律神経失調症外来、気象病外来などの専門外来を開設。18年7月、寒暖差疲労外来を開設。18年は30本以上のテレビやラジオ、雑誌、新聞などに登場。著書に『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』がある。

(文/濱田ももこ)

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