「せたがや内科・神経内科クリニック」の久手堅司医師
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寒暖差が大きければ大きいほど、自律神経は体を一定の環境に保とうと激しく切り替わり体への負担もより大きいものになる(写真:getty images)
寒暖差が大きければ大きいほど、自律神経は体を一定の環境に保とうと激しく切り替わり体への負担もより大きいものになる(写真:getty images)

 鼻水が止まらなく、頭痛がして体がだるい……でも、風邪でもなければアレルギーでもない。そんな症状が寒暖差の影響によるものだとご存じでしょうか。現在さまざまなメディアで寒暖差によって起こる体調不良について解説をする「せたがや内科・神経内科クリニック」の久手堅司(くでけん・つかさ)医師に聞きました。

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 室外は寒いけれど、室内は暖房が利いていて暖かい……冬の温度差は室内外で大きく変わります。また、2018年は12月のはじめにもかかわらず日中は20度を超える日もあり、日ごとの温度差、朝晩の温度差も激しく変動しています。このように温度が大きく変わると、体調を崩しやすくなります。

 そのなかで、アレルギーのような鼻水が出たり、皮膚がかゆくなったりする症状が出ることがあります。これは最近では“寒暖差アレルギー”と呼ばれています。“寒暖差アレルギー”は、普通のアレルギーではなく血管性運動鼻炎という鼻炎の一種です。

 寒暖差アレルギーと呼ばれ始めたのはごく最近のことではないでしょうか。というのも、症状としては一般的な風邪やアレルギーとほとんど変わりはありません。わたしのクリニックに来る患者さんは、血液検査でアレルギー反応がなく、鼻やのどで炎症を起こして風邪を引いているわけでもない、けれど原因がわからないという人たちです。診療では、日常生活の中でどんなときに反応が出ているのか問診し、それが温度差によるものだとわかったら、寒暖差アレルギーと診断します。人によって暑さを感じて反応が出たり、寒さを感じて反応が出たりとパターンはさまざまです。寒暖差アレルギーの患者さんを診てきた結果、7度以上の温度差を感じると症状が出やすいことがわかりました。

 では、どうして寒暖差によってアレルギーのような症状が出るのでしょうか。そこには人間の持つ体の機能が関係しています。

 人間は自分の体を一定の温度に保つ恒温動物です。そのため、自律神経という、自動で自分の体をコントロールする機能が備わっています。暑いときは体を冷やすために汗をかき、寒いときは体幹を冷やさないために手足が冷えます。状況に応じて体を安定した状態にするのが自律神経の働きです。寒暖差で鼻水が出ることは、自律神経を介した過剰な反応の結果なのです。寒暖差が大きければ大きいほど、自律神経は体を一定の環境に保とうと激しく切り替わり体への負担もより大きいものになります。

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自律神経の乱れを簡単に整える方法は?