楽天は17年7月に4年総額約280億円で、スペインの名門FCバルセロナのパートナー契約を結んでいる。バルセロナは世界中にファンがおり、イニエスタやビジャはバルセロナでプレーしていた。楽天がバルセロナにここまでお金をかけたのは、やはりバルセロナの世界的な人気を見込んでのこと。当時の会見で三木谷社長は「スペシャルなクラブとのパートナシーップを結ぶことができたことで、楽天ブランド自体の意味が変わってくると思う。様々な形で人々に使っていただけるサービスを開発していくことで、経済的にも十分投資回収ができると思っています」と話していた。



 もともと三木谷社長はサッカー好きで知られている。2004年に個人としてV神戸を買収して運営していた。当初は単なる道楽と見られていた。14年12月に、楽天がV神戸の運営会社の株式を全て取得して子会社化。そこから徐々に、V神戸を楽天が世界に打ってでるためのビジネスツールとして活用し始めている。ポドルスキー、イニエスタ、ビジャといった世界的な人気選手を獲得することで、V神戸というチーム名だけでなく「Rakuten」の名を世界へ知らしめた。

 海外事業の視線の先は、サッカーが盛んで楽天が事業を展開するヨーロッパやブラジルだけではない。酒井さんは、三木谷社長の狙いをこう見る。

「楽天が、ビジャの獲得などで本当に訴求したいのは米国市場ではないでしょうか。なんとかアマゾンの牙城を崩したいという思いがあるのでは。ビジャがV神戸に移籍する前のチームもニューヨークのチームです。現地で報道されることで、V神戸だけでなく楽天の名前も波及されていきます」

 確かに、楽天は昨秋、サッカーだけでなく、米プロバスケリーグNBAとパートナーシップ契約を締結したり、NBA昨季王者ウォリアーズとも契約している。金額こそ非公表だが莫大な金額がかかっているのは間違いない。米国市場に狙いを定めているからこそだろう。
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