合格発表の掲示板の前でがっくり肩を落としている三男に、心を込めてサラッと言えるように、私は10月から、塾に三男を送った帰りの車の中で、毎日毎日、声に出して練習しました。そのセリフを練習するたびに、頭を垂れてたたずんでいる三男の姿が目に浮かび、号泣しながら練習したのです。本番では、笑ってそのセリフを言えるように何度も何度も練習しました。
年が明けて1月、三男は無事に灘中に合格し、やれやれと思ったのですが、今度は娘を塾に送っていった帰りの車の中で、思わず三男にかけるセリフを練習し、号泣している自分に気がつきました。泣きながらセリフを言って「あれっ? 三男は合格したんだった」と気がつき、涙を拭くという毎日。私も、三男の人生を中学受験の合否で終わらせてはいけないと、思いつめていたのだと思います。
5月上旬の文化祭で、楽しそうにしている三男を見て「本当に合格して灘中生になったんだ」と、しみじみ感じたのを思い出します。その日からようやく、私は車の中で泣きながらセリフを言わなくなりました。
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『三男一女 東大理III合格! 佐藤ママの子育てバイブル 学びの黄金ルール42』は、子どもの中学受験を控えた親の必読の書。長男、次男、三男は灘中を、末っ子の長女は洛南高等学校附属中学校を受験して合格した。佐藤さんの実体験や4人の子どものコメントを読めば、安心して受験に臨むことができる。(まとめ/本誌・鎌田倫子)
※週刊朝日 2018年12月7日号