たとえば、体に良かれと思って温泉地に連れていったのに、「部屋でのんびりしたいわ」と、もし言われたとしても、「ならば部屋でゆっくりおしゃべりしようか」と客室で楽しむ。宿で思いどおりにならないことが起きてしまっても、笑って流す。
つい「この泉質って、腰痛にいいんだって、お父さん、お母さん」などと言いがちだが、無理に長く入るのは禁物。石井さんによると、大事なのは「入る前のかけ湯」と、「腹八分目入浴」という。
「洗い場で、体を洗い清潔にします。その後にこれから入る湯(湯船からの湯)を体にかけます。これは、体と肌の準備運動。これからどのくらいの温度のどういう成分の湯に入るかを体に知らせるためです」(同)
浴槽の縁まで行ってかがむのがしんどい、という場合は無理する必要はないという。
「もう一つが、3回ぐらいに分けてほどほどに入る、腹八分目入浴です。額が汗ばんできて、もうちょっと入っていたいな、ぐらいで出ることです」
これは深部体温を無理なく上げるためだ。温泉では無理せず、のぼせないように気を付けよう。(本誌・大崎百紀)
※週刊朝日 2018年11月30日号より抜粋