「私はジュリーの選択を絶対に否定しない。“ジュリー教”の信徒なんです(笑)。ジュリーは他人から何を言われようが、自分の意志を貫く人ですから」
広島県で暮らしていた國府田さんは40代で離婚後、ジュリーを追うように上京して就職した。ツアーパンフや書籍など貴重なジュリー・グッズに囲まれて一人暮らしを続ける。
98年に私設サイト「沢田研二の世界」を立ち上げ、ジュリーの情報を日々更新。会報紙「LIBERTY」も毎月発行し、すでに500号を超えた。ファン仲間も多い。
「子育てや仕事のために離れていたファンが、この10年の間に続々と戻ってきました。近年は渋谷公会堂(約2千人)程度の規模の会場だと、チケットをとるのもたいへんになりました」
やはりタイガース時代からのファンである埼玉県の会社員Aさん(58)は、仕事が落ち着いた2013年から全国各地の公演に足しげく通い始めた。多いときは年に20回くらい。
同じツアーを何度も見る理由は何なのか。
「毎回、違うんです。ジュリーのしぐさも、歌い方も、会場の反応も」
交通費や宿泊費もバカにならない。
「それを楽しみに働いていますから。どの公演でもジュリーが全身全霊をかけているのがわかる。会場で仲間と出会う喜びも含め、私の生きがいなんです」
東京都内の主婦Bさん(63)も中1以来のファン。当初はレコードや雑誌で楽しむだけだったが、大学生のときにファン仲間と知り合い、「追っかけ」に。
「父に『友達と旅行に行く』なんてウソついて旅費をもらっていました(笑)。ジュリーと同じグリーン車に乗り、タクシーでツアーバスを尾行し、レストラン、ホテルも一緒。声をかけたりはしませんでした。同じ場所にいられるだけで幸せでした」
いまもCDは欠かさず買い、年に数回は公演に足を運ぶ。
「たくさんお金を使ってきましたが、私にとっては『生活費』。家族も理解してくれています。夫と一緒に公演に行くこともありますよ。でも、席は別です。私が狂喜乱舞する姿は見せられません(笑)」