──ご自分のことを調べたりは?
するときもあります。「どんなふうに見えているんだろう?」って気になって。
──それを見て、喜んだり、落ち込んだり?
「あのシーンのあの芝居、間が悪いよね」とか書かれていたらちょっと気になると思うんですけど、「カッコいい」「カッコ悪い」「面白い」「面白くない」は、あんまり気にしません。お芝居以外は、僕が勝負していないところなので。いいこと言われたら「ありがとー」って感じで、ファンレターやファンメールを読むのと同じ感覚ですね。別に好かれようと思ってテレビに出ているわけではないですし。最近、地方公演とかに行って飲んでいると、「握手してください」「頑張ってください!」みたいに言われることがあるんです。ありがたいのですが、自分の好感度の高さに、イライラしてきたりもして(笑)。「俺、そんなんじゃないですよ!」って言いたくなります。もちろん、嫌われるよりは好かれたほうがいいんですけど。
──これまで、お芝居が楽しくなくなったことは?
今のところずっと面白いです。「やってる意味あるのかな」と思ったことはありますが、お芝居自体を嫌いになったことは一度もないですね。それに僕、他にやれることがないですから。今やめると、18年間、人生の半分以上もやってきたことから逃げることになってしまう。それはできないなって思います。
──デビュー当時の田中さんが、今の田中さんを見たらどう思うでしょう? 「よくやってるな」とか?
まあ、「よくやってる」とは、ずっと思っていました(笑)。「そのままブレないで頑張りなさいよ」と、自分で自分に言い聞かせてきましたが、そんなに悪い進み方はしてないと思っています。昔は自分の出演作を見ても、「なんでこんな下手な芝居したんだろう」とかばっかりだったのですが、最近は、反省点はありつつも、「次はもっとこういうことができるかも」とか、ワクワクしながら見返せるようになりました。この仕事に、頂上やゴールは存在しないと思いますけど、それでもずっと坂を上り続けている感覚はありますし、一歩一歩進んでいけたらいいですね。
■100仕事するなら100遊ばないと
──5年先、10年先に描く未来像は?
全然考えていないです。目の前の仕事を一つひとつやっていくことのほうが、楽しいと思うから。18年前、今の状況を想像していたわけでも、目標にしていたわけでもないし。でも、1%も思い描かなかったかというと、そうではない。目の前のものをコツコツ一生懸命やってきて、その時々で人と出会って、自分が変わってきた。それをただ楽しんできただけなんです。それをこれからも繰り返していくと思いますし、もっと上を目指したいという思いもある。
やっぱり、楽しく仕事したいというのが一番です。僕、どんな現場でもそんなに文句言わないんですけど、それは文句を言う前に、楽しんだほうがいいと思っているから。たとえば今、メチャメチャ疲れてるし、休みたいし、遊びたいけど、「今は忙しいってことも楽しもう」みたいな。もちろん倒れちゃったりしたらダメですけど、そうなっていませんから。