ドラフト前、最後の週末、藤原は父と共に早朝いから船に乗り、明石海峡で太刀魚釣りに興じた。入学から誰よりも公式戦に出場してきた藤原である。ボーッと過ごす時間が何よりも心地よかったに違いない。

「はい、楽しかったです(笑)。久々の釣りでしたから」

 千葉ロッテに決まり、記者会見を終え、仲間からの胴上げ、在校生たちから祝福のセレモニーを受けた後、藤原は囲み取材に応じ、こんな言葉を残した。

「中学では小園と、高校では根尾と、ドラフト1位で指名されるような選手と野球ができたのは僕だけ。良い縁に恵まれたと思う。プロとなったらトリプルスリーを目指したい。僕には伸びしろしかないと思うんで」

 藤原と小園の進む道(球団)は再び分かれた。この先、コンビを組む機会があるとしたら、その舞台は侍ジャパンの一員として臨むWBC(ワールドベースボールクラシック)ではないだろうか。

(ノンフィクションライター柳川悠二)

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