作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は明るみに出た昭和大学医学部の不正入試問題について。
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東京医大の差別入試が発覚して約3カ月。文科省はこの間、男女の合格率の差が大きい大学を中心に訪問調査をしてきた。その過程で、昭和大や順天堂大などが、東京医大と同様、属性による差別入試があったと、名指しで報道されている。
最初から言われていた。
「東京医大だけじゃない」と。それは受験生の実感だ。むしろ受験生からすれば、東京医大は「女性が入りやすい」大学だったという。男女の合格率も、昨年まではあまり変わらない。だからこそ東京医大の事件が発覚した時、「え? 順天堂じゃなくて?」という驚き方をした受験生に、私は2人会った。東京医大がやってるなら他は確実にやってる……という不安を深めた受験生は少なくない。
それにしても、だ。昭和大の記者会見は、衝撃的なゆるさだった。外からは医学部内のことはよくわからないが、医学部の人は外のことが全く見えてないようだ。謝罪会見としての真剣さがなく、時々薄笑いすら浮かべ、さらに説明が合理的でない。
昭和大は6年前から現役と1浪の受験生に加点をし、同窓親族を優先的に入学させてきたと認めた。同時に、それ以前は不正はしていない、女性差別はしたことないと言い切った。
文科省の調査は過去6年分のみ。その前は闇に葬れると思っているのでは?と疑いたくなるのは当然で、「なぜ6年前から?」「何がきっかけで?」という当然の質問に対しても「なぜ6年前からといわれても、6年前だからというしかない」(←薄笑い)、「誰が言い出したわけでもなく、みんなで決めてみんなでやった」(←仲良しか?)との答え。「不正という認識はなかったのか?」との問いにも、「文科省や皆様に不正といわれたので不正と認識した」とのこと。現役と1浪に加点したことについては、「現役と1浪の将来に加点」(←スローガン?)と、まるでいいことをしたかのような調子だった。