「めまいや眠気、だるさ、ぼーっとするといった症状があったら、家庭血圧を測りましょう。上の血圧が100前後だったら主治医に相談を。朝の服用を前日の夜の服用に変えたり、量を減らしたりしたほうがいいと思います」(同)

 症状がなくても家庭用血圧計で90以下なら、薬の見直しどきだ。

 薬の種類も、高齢者に適したものとそうでないものがあるという。高齢者の高血圧治療の第一選択薬は、アムロジピン(商品名はアムロジン、ノルバスクなど。以下同)といったカルシウム拮抗薬と、テルミサルタン(ミカルディス)やオルメサルタン(オルメテック)、カンデサルタン(ブロプレス)などのARB(アンジオテンシンII受容体拮抗薬)。必要に応じてトリクロルメチアジド(フルイトラン)などのサイアザイド系利尿薬を追加する。

 それでも血圧が下がらない治療抵抗性高血圧には、選択的アルドステロン阻害薬のエプレレノン(セララ)やスピロノラクトン(アルダクトン)を併用。α遮断薬を就寝前に服用する方法は早朝高血圧には適しているが、低血圧をきたしやすい。高齢者への脳卒中の予防効果が低いβ遮断薬は、あまり使わないそうだ。

「見直すタイミングは、朝晩や日々の気温差が大きい秋や気温が低い冬は血圧が上がる傾向があるため、春以降に行ったほうがよいでしょう」(同)

■糖尿病

「高齢者糖尿病診療ガイドライン2017」では、「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」を掲げている。注目したいのは、薬の種類によって血糖値の平均を示す指標のヘモグロビン(Hb)A1cの目標値が違うところだ。ちなみに、65歳未満では薬の種類にかかわらず7.0%未満を目指す。

「高齢になると、腎臓や肝臓の余力が少なくなり、副作用が起きやすくなる。比較的安全な薬を使うことが大切で、注意が必要な薬については、別途、高齢者の目標値を定めています」

 と説明するのは、日本糖尿病学会の専門医で埼玉医科大学内分泌・糖尿病内科教授の野田光彦さん。副作用が起きやすい薬とは、膵臓からのインスリン分泌を促すグリベンクラミド(オイグルコン、ダオニール)などのスルホニル尿素薬(SU薬)と、自己注射するインスリン製剤の2種類。“重症の低血糖”になりやすいのだ。

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