佐野:僕にはそれがまったくなかったので、大樹くんを見ていて、そういうふうに言おうって。まだ実践はできてないんですが(笑)。

──おいしいものを食べさせることは?

佐野:そう思います。大人になってから感じたことですけど、食べ物には感動がある。超ウマ飯好きです。

吉田:それは本当に大人ですね。

佐野:究極は「誰と食べるか」だと思いますけど。

吉田:私は逆に「男の人とうまくやる三つの方法」を聞きたい。

──村上春樹さんは、男性についても語っていますね。「彼の性的妄想を理解すること、彼の社会的妄想を理解すること、そして、彼の個人的、片隅的な妄想を理解すること」

佐野:あ、村上さん、当たってます。自分の仕事をほめてくれるのは嬉しいですね。ほかには……。うーん、なんだろうな。

吉田:じゃ、私が考える三つ。「自尊心を傷つけないこと。筋肉をほめること。おいしい手料理を食べさせてあげること」

佐野:手料理は超嬉しいっす!

吉田:男性は、やっぱり良くも悪くもマザコンなんですよ(笑)。だから、母親のように、自分に無償の愛で尽くしてくれる存在が好きなんです。

佐野:間違いないです。高価なプレゼントより手作りのマフラーとか嬉しい。

吉田:気持ち悪くない?

佐野:いや、ぜんぜん。嬉しいです。やっぱりマザコンなんですよ。筋肉をほめられるのも嬉しいです。手料理と筋肉。僕はその二つで十分かな(笑)。

──意見の合うお二人が演じる映画「ハナレイ・ベイ」、まもなく公開ですね。

吉田:この映画に関しては、こんなふうに見てください、と言いたくない気持ちがあるんです。見る人が、それぞれ感じていただければいい。同じような経験をされた方にも、いつか、見ていただけたらいいなと思っています。

佐野:愛情とか人の温かさというものに、人は生かされているのかなと僕は感じました。大事な人を失うことの深い意味とか、たくさん詰まっているので、ぜひたくさんの方に見ていただきたいと思います。

(取材・文/沖田十二)

※週刊朝日2018年10月12日号