作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。北原氏は女性医師への性差別に憤る。
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東京医大の不正差別入試問題に関して、「不正はだめだが女医が増えるのは困る」と堂々と言う人がいる。最近では週刊現代さん。「命にかかわる 女性医師の手術はいやだ」と特集を組んでいた。彼らは、小林よしのり氏の言葉を借りて不安を訴える。いわく女は生理があったり妊娠したりと、男にない身体的特徴があるから不安なのだと。よしりんはさらに男女平等ではなく命が優先、子育てなどで定時に帰る女に外科医は任せられず、女医とは信頼関係が築けないとまで言う。
こういうことを真顔で言うオジサンが後を絶たないので、しぶしぶ同レベルに自分を敢えて落とした上での反論を試みます。
男の医者は嫌だ! なぜなら、男には男根という身体的特徴があり、残念ながら信用できない。外科という厳しい職業にはなおさら向かない。
そう断言するところから始めましょう。
何せ男性は、女性の約20倍ものテストステロン(いわゆる男性ホルモン)に支配されている生き物です。性欲に支配されていると言ってもいい。手術中にセックスのことなど考えて勃起するかもしれません。そうなったら手術に集中できませんよね。男性は性欲がたまっていると何をするかわからず、肌の露出の高い女性に出会ったので本能で痴漢してしまった……と被害者面で性暴力加害を語る傾向があります。本能に支配された男から女を守るために、全国のコンビニで気軽にエロ本が購入できる社会。医師がいくら性欲をコントロールする理性を備えているとはいえ、本人の努力だけではどうにもならないのが身体というものです。また、男性は女性より指が太く、裁縫などにも向かないので、繊細さが求められる外科手術に向いていないのは、皆さん考えなくてもわかることでしょう。そう、男女平等は大切ですが命が優先。結果的に男性医師は……無理でしょう。