「安倍さんが先日、横浜にやってきたとき、私たちにも動員がかかりましたが、行きませんでした。神奈川県は麻生派の国会議員が10人近くいる上、菅さんのお膝元なので安倍さんを推す圧力が強い。進次郎さんに対しても、安倍さんに入れなかったら覚えておけよ、という圧力がかかっていますよ」

 では、安倍首相に死角はないのか。

 陣営が「圧勝」を揺るがしかねないと危惧するリスクは実はある。

 それは昭恵夫人だ。政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう言う。

「森友疑惑を追及した国会で、昭恵さんは私人か公人かと論議され、安倍内閣はわざわざ私人と閣議決定した。しかし、閣議決定しようが、首相夫人は国内外で公人として扱われますし、SPもつけば、グリーン車にも乗るでしょう。突き詰めると、昭恵夫人は公人でリスクとなるでしょう」

 そんな昭恵夫人は総裁選の間、表立った行動を控えているようだ。

「安倍陣営は昭恵さんに振り回されたらかなわんと思っている。どっかのホテルに隠しているとか言われますが、じっとしていられない性格だから、そのうちまた絶対に外を出歩くようになるでしょう」(前出の濱岡氏)

 これまで、昭恵夫人は冬ともなればスキーイベントではじけ、スピリチュアルな人物との交友やミュージシャンの布袋寅泰氏との“チュー”写真が流出するなど自由奔放に活動してきた。そんな嫁に「息子の邪魔だけはしてくれるな」と厳しい視線を向けるのが、ゴッドマザーの洋子さんだ。

「洋子さんは加藤六月元農水相の妻、睦子さんとはマージャン友達で仲がいい。六月さんは夫の晋太郎さんと親しく、安倍家と加藤家は昔から家族ぐるみの付き合い。洋子さんは睦子さんに昭恵さんの愚痴を言っているようです。昭恵さんはこうした洋子さんの取り巻きからも距離を置かれています」(前出の濱岡氏)

 一方の石破佳子夫人はどうなのか。石破氏本人にインタビューしたときには「私にはすぎた人なんです」とベタぼめしていた。

 石破夫妻は慶応大学の同級生だ。鳥取県の地元後援会関係者はこう話す。

「佳子さんは今回の総裁選でも、夫の代わりに県外の自民党員のところを忙しくまわっているそうです。地元では本人より夫人のほうが人気があります」

 総裁選対決の「妻力」では、本誌が取材した3人の識者たちはみな、佳子夫人に軍配を上げた。(本誌・上田耕司、田中将介)

週刊朝日  2018年9月21日号より抜粋

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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