「キャリア・シフトチェンジ研修」。中央職業能力開発協会(JAVADA)は、先の今野氏が言う「プラットフォーム能力」が自覚できるようになる研修を開発、実施支援を行っている。役職定年を控えたミドル層以上の世代をターゲットに、会社が求める役割が変わることへの用意ができているかを問い、徹底的にグループ討議をさせる。プラットフォーム能力を構成する三つのうち、強みと弱みを自覚させ、最後は弱点を強くするなどのための「行動計画」まで立てる。
研修作りに携わり、講師も務める学習院大学の山崎京子特別客員教授が言う。
「漠然とした不安を抱えながらも、自主的に参加を決めた人は、一日の研修で劇的に表情が明るくなります。笑顔で握手を求めに来る人もしばしばです」
日々の生活でできることはないのか。
仕事の判断力や問題解決力を測定する「インバスケット研修」の第一人者、鳥原隆志氏は、いくら判断力や問題解決力があっても「人柄力」がなければ人はついてこないことに気づき、人柄の鍛え方を考え始めた。
「自分に鎧をつけている人はダメです。積極的に話の輪に入っていって、自分の『窓』を開け続けるのがいい。自分のことを知ってもらい、その上で『自分はどう見えるか』のフィードバックをもらってください。どんどん人間の幅が広がるはずです」
訓練も大事という。
「人柄がいい人は、例外なく笑顔にぎこちなさがありません。笑顔なのに目は笑っていないのは困ります。鏡を見て笑う練習をするのも効果的です。2カ月もすれば、ぎこちなさが消えるでしょう。そこから、本当に笑うことを増やしていけばいいのです」
松下幸之助のエピソードもそうだが、実は「見た目」はとても大切だ。中身も見た目も充実させて、職業人生を長くしていこうではないか。(本誌・首藤由之)
※週刊朝日2018年8月31日号