興味深いのは、持病などがあって気を使いながら体を動かすシニアはもちろん、元気ハツラツのシニアでも、突然死を起こしやすいという点だ。油断は禁物なのだ。

「それまで元気だった人が、突然亡くなる。それは家族にとってとてもショックなこと。高齢になったらリスクがあると思って、気を付けながら運動をしたほうがよいと思います」(同)

 では、シニアが安全に運動やスポーツを実践するためには、どうすればいいのだろうか。前出の真鍋さんは「自分にとって適正な運動強度を知ること」と、「その日のコンディションに合わせて運動強度を調整すること」の二つをポイントとして挙げる。

「残念なことに、多くの方は自己流で運動を始めるので、自分にとって適正な運動強度がどれくらいか知りません」(真鍋さん)

 運動強度を測る指標には、「最大酸素摂取量」や「最大心拍数」などがある。最大酸素摂取量は運動中に体内に取り込まれる最大の酸素量のことで、医療機関などで専門的な検査を受けないとわからない。

 これに対し、最も激しい運動をしたときの心拍数である最大心拍数は、「220引く年齢」という計算式が多くの人に当てはまる。65歳では155回/分、75歳では145回/分になる。

「シニアでは最大心拍数の50~60%を目安に体を動かすとよいでしょう。運動中の心拍は活動量計などを装着すればわかりますが、それがなくても大丈夫です。“一緒に運動している人と息が上がらず、話ができる程度の運動”がそのレベルにあたります」(同)

 これはウォーキングやジョギングといった有酸素運動だけでなく、筋トレなどのレジスタンストレーニングやストレッチでも同じ。

 運動後の体調の変化も大事な指標となる。

「心地よい疲労はいいですが、翌朝までだるくて動けないとか、起き上がれないとか、そこまで疲れてしまうのは、明らかにその人にとってはやりすぎです。“ご機嫌な気分になる運動”を心がけましょう」(同)

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