こうなってしまったのは、相手を信用しすぎたからかしら。勝手に娘のように思って、会社の通帳や印鑑まで預けるようなことをしちゃダメね。親しくても、ある程度のところで線を引く必要もあるんだなってことは、とても勉強になったわ。
――人生は七転び八起き。思わぬ道をたどることになった美容家人生だが、今は再び輝きを取り戻し、さらにパワーアップしている。
きっと神様・仏様が「お前にはもう少しやることがある」と言ってくれているんだと思います。私は昔から、「諭吉さん(お金)を追わずに人を追い続けましょう」って言い続けてきたけど、それは間違ってなかった。事情を知ると「そういうことなら一緒にやりましょう」「佐伯さんとやりたいと思っていたんです」という話がたくさんきました。多くのものを失ったけど、私を信用してくださる人がたくさんいてくれる。インスタグラムっていうんですか。世界中の人が「佐伯式の美肌術できれいになりました」って写真をアップしてくれているみたいです。
美容道を通じた社会貢献も今の私の目標です。私が憧れたヘプバーンは晩年、世界の難民キャンプを回っていた。彼女のように、発展途上国に行って、女性の仕事を創り出したい。世界には、まだまだ女性の地位が認められていない国が多い。「佐伯式ローションパック」を伝えれば、そこからあらゆる広がりもでき、女性たちが仕事に自信を持てるようになれると思う。美容道の仕事には男性は口出しできないものね。
(聞き手/石原壮一郎)
※週刊朝日 2018年8月17-24日合併号