疑惑の真相は…(※写真はイメージ)
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第一線救護衛生員のテキスト『外傷救護の最前線‐事態対処医療の手引き‐』の表紙>>問題の「図」はこちら
第一線救護衛生員のテキスト『外傷救護の最前線‐事態対処医療の手引き‐』の表紙
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【図1】テキスト掲載の図1は、照井氏の著書に掲載された【図2】を参考に作成されたもの。搬送順位と時間的な流れはそっくり引用しながら、解説文を改変したため、テキストはまちがいだらけの内容に(齋藤大蔵ほか編集『外傷救護の最前線‐事態対処医療の手引き‐』より引用)>>引用元の萌えキャラ救護本はこちら
【図1】テキスト掲載の図1は、照井氏の著書に掲載された【図2】を参考に作成されたもの。搬送順位と時間的な流れはそっくり引用しながら、解説文を改変したため、テキストはまちがいだらけの内容に(齋藤大蔵ほか編集『外傷救護の最前線‐事態対処医療の手引き‐』より引用)

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【写真】パクリ疑惑が指摘された「手引き」と萌えキャラ救護本はこちら

照井氏の『イラストでまなぶ!戦闘外傷救護』の表紙
照井氏の『イラストでまなぶ!戦闘外傷救護』の表紙
【図2】照井資規『イラストでまなぶ!戦闘外傷救護』より引用
【図2】照井資規『イラストでまなぶ!戦闘外傷救護』より引用

 戦場の前線における救命措置を行うのが、「第一線救護衛生員」だ。防衛省・自衛隊は昨年度から、准看護師と救急救命士の両方の資格を持つ自衛隊員を対象に教育を開始。現在、約100人の隊員が第一線救護衛生員として認定されている。彼らは医師の指示がなくても、負傷者に対して気道確保や輸血・輸液など緊急処置ができるようになった。

 ところが、この第一線救護衛生員を養成するためのテキストの一部に、他の著書からの“パクリ”疑惑が浮上したのである。テキストは『外傷救護の最前線―事態対処医療の手引き―』というタイトルで、編集・執筆者は防衛医科大学校防衛医学研究センター教授の齋藤大蔵氏はじめ18人。いずれも防衛医大、陸上自衛隊衛生学校の教官や、自衛隊中央病院の医官らだ。同書はこの7月に発行されたばかりで、第一線救護の教育のいっそう充実化を図ろうとしたのだろう。だが、お粗末なミスが発覚してしまった格好だ。

「私の著書から図が無断で引用されたうえ、参考文献覧でも出典を明らかにされていません」

 戸惑った表情でそう語るのは、一般社団法人「TACMEDA(タックメダ)協議会」の照井資規(もとき)理事長だ。陸自富士学校や、衛生学校で研究員を務め、衛生部門の教科書編纂などに従事してきた元自衛官だ。照井氏は現在、同法人で戦傷医療やテロ対策外傷救護の講習などを行っている。

 無断引用の該当箇所は、テキストの19ページに掲載された「事態対処医療における輸送順位の考え方」という図だ。ライフル銃で太腿部や胸を撃たれたケースなどでそれぞれの緊急処置法や、手術などができる後方の治療施設に搬送するまでの時間的な流れを解説している。

 一方、今年2月に発行された照井氏の著書『イラストでまなぶ!戦闘外傷救護』に掲載されているのが「軍事医療の時間的概念『Buy the time』(時間を稼ぐ)」だ。萌えキャライラストに惑わされそうだが、こちらが引用元である。確かに両者は酷似しており、時間的な流れはまったく同じだ。照井氏がこう説明する。

「この時間的概念は、私のオリジナルです。米軍ばかりでなく世界各国の戦傷医療を研究してデータを収集したうえで算出したものです」

 陸自の「救命ドクトリン」は、負傷して10分以内に現場で救護し、1時間以内に緊急外科手術が受けられる態勢を目指すというもの。照井氏が著したような細かい時間的な流れを示すようなデータはないという。照井氏は防衛省の監察本部に抗議した。

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