テキサス州にゆかりのあるシンガー・ソングライターやグループの音源も含まれ、こちらも興味深い。
代表的なのは、アルバム『オールド・No.1』(75年)でデビューしたガイ・クラーク。名曲「汽車を待つ無法者のように」が収録されている。彼のライバルだったタウンズ・ヴァン・ザントの「レックスのブルース」も味わい深い。
そのほか、ニューヨーク出身で放浪の吟遊詩人となったジェリー・ジェフ・ウォーカー、シカゴ出身ながらテキサスを本拠としたキンキー・フリードマン、「コズミック・カウボーイ」のヒットを生んだマイケル・マーフィーら。もちろん、テックス・メックス・サウンドを打ち出し、テキサスのロック・シーンへの関心を高めてきたダグ・サームの「グルーヴァーズ・パラダイス」も収録されている。
かつてナッシュヴィルで“異端派”とされた“アウトロー・カントリー”が、殿堂博物館入りを果たしたという事実は重要だ。70年代に輝いた“アウトロー・カントリー”の業績、後のネオ・トラディショナル・カントリー、オルタナ・カントリーに受け継がれた系譜の原点としても評価されたのだろう。
オールド・ファンのみならず、アメリカのフォーク、カントリー、ブルースなど伝統的な音楽の系譜を受け継ぐロック・バンドを支持する若いファンにもお薦めしたい。(音楽評論家・小倉エージ)