コロンビア戦に勝ったとたん、のんびりどころかガツガツしまくった原稿になってしまったのだから。

 まったく期待していなかったチームに驚かされたことならば過去にもあった。だが、驚かされたのはあくまで結果のみにであって、展開されたサッカーの質や内容に驚かされたことはなかった。

 今回は違った。コロンビア戦の、特に後半に入ってからの戦いぶりには、文字通り目を見張らされた。日本が試合の主導権を握っている! W杯で今まで一度も勝ったことのない南米のチームを相手に、勝ち点をかすめ取ろうとするのではなく、圧殺しての勝利を狙っている! きちんとショートパスをつなぎ、緻密(ちみつ)さや勤勉が求められるサッカーをやろうとしている!

 ワールドカップにおける日本代表の戦いを見て、あれほど舞い上がってしまったのは初めてだった。戦い方の根底に「どうせ日本人だから」という卑屈さがあったがゆえ、心からは喜べなかった過去の勝利とはまるで違う、胸を張れる勝利だった。

 わたしのような門外漢でさえ誇らしかったのだから、実際に戦った選手たちの獲得した自信の大きさたるや、相当なものがあったに違いない。この試合を境に、日本代表のメンタルは別次元に突入した。2度のビハインドを追いついたセネガル戦は、卑屈なチームには断じてできない戦いだった。

 そして、日本のみならず、世界中を騒然とさせたポーランド戦。フェアプレーポイントでの勝ち抜けを狙うチームが、フェアプレー精神とかけ離れた選択をしてしまったという、極めて皮肉な結果となった。

 大バッシングも当然で、わたし自身、恐ろしく恥ずかしい行為だったとは思う。半面、同じ立場に立たされれば、おそらくは同じ選択をしただろうと考える自分もいる。あの試合の失敗は、残り10分の時間稼ぎではなく、メンバー6人を入れ替え、セネガル戦までで培った自信と勢いを放棄してしまったところにあった。  

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