彼が短冊に書いた言葉は「イケメンになる」。それはルックスのことではなく、仮面ライダーやウルトラマンのようなカッコよさを求めているそうで、力士にとっては勝つこと。その願いを、御嶽海は自力で見事にかなえてみせた。

 御嶽海と並び、横綱不在の場所を熱くしたのは、5場所ぶりに2ケタ勝利を挙げた朝乃山(24)。

「188センチ165キロという体は出身地に引っ掛けて“富山の人間山脈”と言われていて、柔軟性もある。素質は一番でしょ。しかも、いい子でね。負けると落ち込んじゃって『しゃべりません』とか言いながら、ちゃんと受け答えしてくれるんですよ(笑)。ただ、これまでは、ここ一番で力が発揮できなくて、ハートの強さがもう少しあれば、という感じですね」(ベテラン相撲記者)

 その朝乃山と同学年で、学生時代からのライバルが豊山(24)。名古屋場所では、最後まで優勝争いに加わった。

「新潟出身で、相撲のキップが良くて、ひたすら前に出る突き押し相撲です。組まれると弱いところを克服できればね。彼も、話が面白いから、勝っても負けても記者が寄っていくお相撲さんです。グルメで、どこどこの店は?と聞くと『おいしくないですよ』とか、よく知っています」(同)

 初優勝した御嶽海は、9月場所が大関獲りのチャンス。主役交代を感じさせる熱い名古屋場所だった。(岸本貞司)

週刊朝日  2018年8月3日号

[AERA最新号はこちら]