うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた"なっちゃん流教育論”をお届けします。
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毎年「算数」に関して、親から怒りの意見をたくさん聞きます。テストで「数字を一つのマスに収めなかったらバツにされた」「掛け算を習ってないのに使ったらバツにされた」というような、意味不明のバツ。これはもはや、親と学校の定番の戦いと化しています。
特に多いのが、「3×2だって、2×3だって同じなのに、テストでバツにされた」でしょう。実際、算数が数学になり、高校生、大学生と大きくなっていくにつれ、2×3と3×2の違いでバツにする先生はいなくなります。それどころか掛け算の3×2は3・2とただの点に変わるし、割り算の6÷3は6/3と、分数で書くようになります。円に使っていたおなじみの数字「3.14」だって、π(パイ)という記号に変わり、答えも12πと、記号のままでマルになります。私も「習ってない掛け算を使った」というような理不尽なバツはイラッとします。しかし算数のうちは3×2と2×3はきちんと区別して考えるべき時期だと思っています。問題文から数式をつくることは、その後の理解につながり、数学をわかかりやすくするのです。
■3×2と2×3は同じものなのか
そもそも考えてみてください。πは正確には3.14ではありません。3.141592……という、割り切れないで長く続いていく数字を、単に記号に置き換えただけです。そういう意味では、ゆとり教育の「3」も、そこからわずか0.14ほどだけ大きくなった「3.14」も、「3.1415」も、高校で最終的にπになってしまうなら、私にはどちらを教えても大して変わらないように思えるのです。3.14でなく、πとしてコンピューターに数値を入れなくては、真に正確な答えは出ません。