隠し口座のお金をなんとか財産分与の対象にしたい場合、裁判や調停によって、銀行に預金口座情報を開示させることができる。ただし、銀行名だけでなく支店名まで特定しないと申し立てができない。最低限、銀行名と支店名は自分の力で把握するしかないのだ。

「ですが隠し預金口座となれば、口座番号はもとより、支店名さえわからないのが普通です」

 これまで多くの離婚裁判に立ち会ってきた、大手弁護士事務所代表は言う。弁護士も、相手方がどこの金融機関に口座を保有しているか全くわからない状態では、どれだけ泣きつかれても調べることは困難だ。

 泣き寝入りしないために講じられる対策といえば、少しでも離婚を考えたら、郵便物のチェックを欠かさないこと。最近は、銀行が定期的に特典案内などのダイレクトメールを送ってくることも多い。金融機関の登録先の住所を変えていない限り、住んでいる場所に届くので、郵便物はこまめにしっかりと確認することが大事だ。

 同居しているのに自宅に郵便物が一切届かない場合には、書類が相手の目に触れないよう、他の住所に転送設定されている場合もある。さらに、自宅で郵便物を受け取りたくない人のために、最近では私設私書箱のサービスもある。1カ月3千円ほどで利用でき、私書箱に郵便物が届いたらメールで知らせてくれる。保管状況や発送人などもネットを通じて確認できるという便利なサービスだ。

 その場合、焦って郵便局で転送設定先を聞くなどはもってのほか。本人に同意を得るため、郵便局が相手に電話確認してしまいかねないからだ。

「万が一、こちらが探る動きが相手にバレてしまうと、相手が最大限の警戒状態になることは免れません」(阿部さん)

 一度自分で何らかの郵便物を相手宛てに出し、途中で理由をつけて取り戻すのも奥の手だという。

「今の時期だと、例えばお中元を相手の名前で自宅宛てに出してみる。配達中だと連絡すれば、差出人に返ってくる場合もあり、その際に転送先の住所シールが郵便物に貼られているケースもある。もちろんあまり推奨できない行為ですが、切羽詰まっているときには有効かもしれません」(同)

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