いままで隠していたことだが、実は大センセイ、大のオペラ好きであるから、オペラの舞台に出たりしたことがあるんである。
これを知人に話すと、
「学校の音楽室に飾ってあったバッハとかモーツァルトの肖像画みたいなヅラを被りたかったからだろう」
とよく言われる。
なんたる邪推であろうか。オペラは単純に面白いんである。聴いても面白いが、実際に舞台に立ってみるともっと面白い。
オペラなんてハイソな趣味だと思い込んでいる人が多いようだが、オペラは日本で言えば能ではなくて歌舞伎。もとは大衆演劇だから、テーマはほとんどがしょうもない男女の色恋沙汰である。
アリアを歌い終えた歌手に向かって「ブラボー!」と声をかけるのも、見得を切っている歌舞伎役者に「成田屋!」なんて声をかけるのと同じことである。
しかしながら、舞台に立つに当たって、自らのハゲをどう処するかについて迷ったのは、事実だ。